心地よさもおしゃれも叶える。大人のための「素材選び」ゆるっとヒント
ファッションの心地よさ、素材に目を向けてみませんか
年齢を重ねるにつれて、お洋服を選ぶ基準が少しずつ変わってきた、と感じることはありませんか。 若い頃はデザインや色、流行を一番に追いかけていたけれど、今はそれと同じくらい「着心地」や「肌触り」が気になるようになったという方もいらっしゃるかもしれません。
でも、「着心地の良い服」となると、どうしてもおしゃれさからは遠ざかる気がしてしまったり、「この素材って、体のラインを拾いやすいのかな?」と不安になったりすることも。 一体どんな素材を選べば、心地よさとおしゃれさ、そして今の自分にフィットする見た目を両立できるのだろう、と悩んでしまうこともあるかと思います。
ファッションにおける「素材選び」は、実は私たちが思っている以上に、服の着心地や見た目の印象を左右する大切なポイントです。そして、素材選びを少し意識するだけで、いつものコーディネートがもっと快適に、そして今の自分に心地よく寄り添うものに変わる可能性があります。
この記事では、完璧を目指すのではなく、「ゆるっと」肩の力を抜いて素材に注目してみるヒントをお届けします。
なぜ「素材」が大切なの? 心地よさと見た目の関係
服の素材がなぜ重要なのでしょうか。それは、素材が持つ特性が、私たちの体感と服の見え方に直接影響するからです。
1. 肌が喜ぶ「心地よさ」
服は一日中、私たちの肌に触れています。素材の肌触りが心地よいかどうかは、ファッションを楽しむ上でとても大切です。チクチクしたり、ごわついたり、逆に肌に張り付きすぎたりする素材は、どれだけデザインが素敵でも、着ているうちにストレスを感じてしまうことがあります。 自分の肌が「気持ちいいな」「安心するな」と感じる素材を選ぶことは、心穏やかに一日を過ごすためにも繋がります。
2. 体型をきれいに見せる「落ち感」や「ハリ感」
素材には、体に沿って柔らかく流れるような性質(ドレープ性、落ち感)や、形をしっかり保とうとする性質(ハリ感)があります。 例えば、ドレープ性の高い素材は、体のラインを拾いすぎずに縦のラインを強調してくれるので、すっきりとした印象に見えやすいです。一方、適度なハリ感がある素材は、体の気になる部分の凹凸を拾いにくく、シルエットをきれいに見せてくれることがあります。
「体型カバー」と難しく考えるのではなく、素材の持つ特性を活かして「今の自分の体を心地よく、きれいに見せる」という視点で素材を選ぶことができるのです。
3. 日々のお手入れの「楽さ」
ファッションを心地よく楽しむためには、着た後のお手入れのしやすさも重要です。自宅で洗えるか、シワになりにくいか、アイロンの手間はどれくらいかなど、素材によってお手入れの負担は大きく変わります。 「ゆるっとファッション」を実践する上で、日々の生活に無理なく取り入れられるお手入れの楽さも、素材選びの大切な基準の一つと言えるでしょう。
どんな素材に注目すればいい? 具体的なヒント
では、具体的にどんな素材に注目すれば良いのでしょうか。いくつかの例とそれぞれの特徴を見てみましょう。
落ち感があって柔らかい素材
- レーヨン混、テンセル(リヨセル)、キュプラ: これらの素材は、とろみがあって落ち感が美しいのが特徴です。体のラインに沿いすぎず、すとんと縦に落ちてくれるので、気になるお腹周りや腰回りをさりげなくカバーしつつ、すらりとした印象に見せてくれます。ブラウスやワンピース、ワイドパンツなどによく使われます。洗濯機で洗えるものも増えましたが、シワになりやすいものもあるため、表示を確認しましょう。
- 薄手のポリエステル: 近年の技術で、ポリエステルも様々な風合いのものができています。薄手で柔らかいポリエステル素材は、こちらも落ち感があり、体型を拾いにくい傾向があります。また、シワになりにくく、お手入れが楽なものが多いのも嬉しい点です。
ハリ感があって体型を拾いにくい素材
- 綿ブロード、タイプライター(高密度の綿素材): 適度なハリがあり、体のラインを拾いにくい素材です。シャツやスカートなどに使われることが多いです。しっかりとした生地感で、きちんとした印象も与えられます。ただし、生地にボリュームが出やすいため、ゆったりしたシルエットのものを選ぶと、かえって体積が増して見えることも。自身の体型や目指すシルエットに合わせて選ぶのがポイントです。
- 厚手のジャージー素材: ジャージー素材と聞くと体のラインを拾うイメージがあるかもしれませんが、ある程度厚みやハリのあるジャージー素材なら、体の凹凸を拾いにくく、それでいて伸縮性があるため着心地は抜群です。カットソーやワンピース、パンツなどで見られます。
天然素材の心地よさ(と、知っておきたいこと)
- 綿(コットン)、麻(リネン)、ウール: 肌触りが良く、吸湿性や通気性に優れているものが多いです。特に肌が敏感な方には安心感のある素材かもしれません。ただし、麻はシワになりやすく、ウールはものによってはチクつきを感じることもあります。最近では、これらの天然素材に別の素材をブレンドすることで、デメリットを軽減しつつ良い特性を活かした素材も多く出ています。
もちろん、素材の種類はこれだけではありませんし、同じ素材でも加工によって風合いは全く異なります。 「これが絶対良い」という正解があるわけではなく、それぞれの素材に特性がある、ということを知っておくと、服選びのヒントになります。
「ゆるっと」素材選びのための試着術
素材について少し分かってきたら、次はいよいよお店での試着です。服はハンガーにかかっているだけでは、その素材が自分の体にどう馴染むか、ラインを拾うかどうかは分かりにくいもの。ぜひ実際に袖を通してみましょう。
試着室でチェックしたいのは、デザインやサイズ感だけでなく、こんなポイントです。
- 肌触り: 素肌に触れた時の感触は心地よいですか? チクチクしたり、張り付きすぎたりしませんか?
- 動きやすさ: 腕を上げ下げしたり、膝を曲げたり、座ってみたりと、普段の体の動きをしてみてください。突っ張りや窮屈さはありませんか?
- 体のライン: 鏡で全身を見て、体の気になる部分(お腹、腰、二の腕など)のラインを不自然に拾いすぎていませんか? 特に横や後ろからのシルエットも確認できると良いでしょう。
- お手入れ表示: 洗濯表示を確認しましょう。自分で無理なくお手入れできる素材ですか? クリーニング必須のものでも、心から気に入ったものなら良いと思いますが、日常着なら自宅ケアできると「ゆるっと」着られます。
もし、試着して「デザインは好きだけど、ここがちょっと気になるな…」と感じても、完璧じゃなくて大丈夫です。素材の特性上、多少のシワやすとんとしすぎない感じは自然なことかもしれません。全体のバランスを見て、自分が「これなら心地よく着られそうだな」と感じるものを選ぶ、というゆるい基準を持つことが大切です。
素材を味方につけて、今の自分に心地よく寄り添うファッションを
ファッションを楽しむ上で、デザインや色だけでなく、素材に少しだけ意識を向けてみることは、新しい発見に繋がります。
「この素材、肌触りが気持ちいいな」「この素材なら、体のラインを気にしすぎずに着られるかも」
そう感じられる服は、きっとあなたの毎日を心地よく彩ってくれるはずです。完璧な素材や完璧なシルエットを探す必要はありません。今の自分が心地よく、そして「これでいいんだ」と自分を肯定できるような、そんな素材との出会いを大切にしてみてください。
素材を味方につけて、今のあなたに心地よく寄り添うファッションを、ゆるっと楽しんでいきましょう。