「買っても着ない」より「着るのが楽しみ」になる。ゆるっとした服の選び方
クローゼットに眠る「あの服」に、ため息をついていませんか
お店で見たときは「可愛い!」と思って買ったのに、家に帰って着てみたらなんだかしっくりこない。セールだったからと勢いで買ってしまい、結局一度も袖を通していない。気づけばクローゼットには、そんな「買っても着ない服」がひっそりと眠っている。
そんな経験、もしおありでしたら、あなたは一人ではありません。多くの方が、少なからず似たような経験をされています。
SNSで見たおしゃれな人の着こなしに憧れて、同じような服を買ってみたけれど、なぜか自分には似合わない気がする。体型が変わって、前に買った服がどうにも心地よく着られない。トレンドを意識しすぎて、結局いつもの無難な服に手が伸びてしまう。
「また失敗しちゃったな」「なんでいつもこうなんだろう」と、自分を責めてしまうこともあるかもしれません。でも、大丈夫です。完璧な買い物なんて、プロのスタイリストさんでも難しいこと。私たちはもっと、肩の力を抜いて服を選んでいいのです。
なぜ私たちは「つい買ってしまう」のでしょう?
「買っても着ない服」を生み出してしまう原因は、一つではありません。
- お得感: セールや限定品につられて、「今買わないと損」と思ってしまう気持ち。
- 気分転換: 何か新しいものを手に入れることで、気分を変えたいという気持ち。
- 憧れ: テレビや雑誌、SNSで見かけた素敵な人に近づきたいという気持ち。
- 不安: 流行に乗り遅れているのではないか、という焦りや不安。
これらは、決して悪いことではありません。むしろ、自然な感情です。だから、「また無駄遣いしちゃった」と過度に自分を責める必要はありません。
大切なのは、「買わない」を完璧に目指すことではなく、「着るのが楽しみ」になる服との出会いを少しずつ増やしていくこと。「失敗してもいいか」と、心持ちを「ゆるっと」させてみることです。
「着るのが楽しみ」になる、ゆるっとした服の選び方
では、「買っても着ない」を少しでも減らし、「着るのが楽しみ」になる服を選ぶには、どんなことに意識を向ければ良いのでしょうか。もちろん、これも「こうしなければならない」というルールではありません。あくまで、「こんな考え方もあるんだな」と、参考にするくらいの気持ちで読んでみてください。
1. 「似合うか」「流行りか」より「本当に好きか」「心地よいか」を基準にする
おしゃれに関する情報は、どうしても「似合う色」「骨格診断」「最新トレンド」といったことに目が行きがちです。もちろん、これらは参考になる情報ですが、それに縛られすぎてしまうと、「これがいいと思ったけど、私には似合わないらしいからやめておこう」「流行っているけど、なんだか落ち着かないな」と、自分の「好き」という直感を無視してしまうことがあります。
服選びの一番の基準は、着ていて「なんだか心地よいな」「着るのが楽しみだな」と感じられるかどうかです。試着したときに、鏡の中の自分を見て「ふふ」と微笑んでしまうような、そんな感覚を大切にしてみてください。「似合うはずの色」ではなくても、心惹かれる色を選ぶ。「流行の形」でなくても、自分が一番リラックスできるシルエットを選ぶ。そんな「好き」と「心地よさ」を優先することで、袖を通すたびに気分が上がる、あなたにとっての「着るのが楽しみ」な服に出会える可能性が高まります。
2. 「今の自分」に合うか、を静かに問いかける
「痩せたら着よう」「いつかパーティーに行く機会があるかも」と、未来の自分や特定の機会のために服を買っておくことは、時としてクローゼットを「着ない服」でいっぱいにしてしまう原因になります。
服を選ぶときは、少し立ち止まって「今の自分」に問いかけてみましょう。
- 「今の私の体型で、この服は心地よく着られるだろうか」
- 「今の私のライフスタイル(仕事、休日、家での過ごし方など)で、この服を着るシーンは実際にあるだろうか」
- 「今の私の手持ちの服と、喧嘩せずに馴染んでくれそうか」
未来の自分や理想の自分ではなく、「ありのままの今の自分」が心地よく、自然体で着られる服かどうか。これを基準にすることで、現実的に着る機会の多い、あなたの日常に寄り添ってくれる服を選べるようになります。
3. 手持ちの服との「完璧な相性」は求めすぎない
「せっかく買うなら、手持ちの〇着と着回せるものがいい」と考えるのは素晴らしいことです。計画的な買い物は無駄を減らしてくれます。
しかし、この「着回し」や「相性」を完璧に考えすぎてしまうと、選択肢が極端に狭まってしまい、本当に「好き」と思える服を諦めてしまうこともあります。あるいは、「この服に合うものがないから着られない」と、「着ない服」の原因になってしまうことも。
もちろん、ある程度手持ちの服との馴染みは大切ですが、最初は「この服単体で可愛いな」「この服を着るだけで気分が上がりそうだな」という直感を信じてみるのも良いでしょう。完璧な着回しアイテムでなくても、あなたの心を動かす一着は、それだけであなたのファッションを豊かにしてくれることがあります。「何か一つでも、この服と合わせて着られるものがあればいいか」くらいの「ゆるっと」した考え方で、新しい服との出会いを楽しんでみてください。
失敗を「ゼロ」にすることより、失敗しても自分を責めないこと
「買っても着ない服」を完全にゼロにすることは、現実的ではありません。どんなに慎重に選んだとしても、時には「やっぱり違ったな」と感じることもあるでしょう。
大切なのは、そこで「私って本当にセンスがないな」「また無駄遣いしちゃった」と、自分を責めたり、必要以上に落ち込んだりしないことです。
失敗した買い物も、あなたの「好き」「心地よい」を見つけるための、大切な経験です。その服から「なぜ着ないのか」(サイズが合わない、色が肌に馴染まない、着心地が悪いなど)を静かに感じ取ってみる。そして、「次からは、こういうところに気をつけてみようかな」と、次の服選びに生かすヒントにする。それだけで十分です。
もし手放すことになっても、「この服は、私に〇〇が似合わない(あるいは似合う)ってことを教えてくれたんだな」と、感謝の気持ちで見送ることができたら素敵ですね。
まとめ:「着るのが楽しみ」を増やしていく
ファッションは、「完璧」を目指すものではありません。ましてや、自分を否定したり、落ち込ませたりするためにあるのではありません。
「買っても着ない服」があってもいい。衝動買いをしてしまう日があってもいい。それでも、少しずつ「着るのが楽しみだな」「これを着ると気分がいいな」と思える服を増やしていく。それが、自分を肯定しながらファッションを楽しむための、一番心地よい方法です。
完璧な買い物術を身につけることより、「着るのが楽しみ」を基準に、今の自分と服との心地よい関係を築いていくこと。その「ゆるっと」した視点が、あなたの毎日を、きっと少しだけ明るくしてくれるはずです。