もう「あの頃」と比べない。「今の体型」で心地よく楽しむファッションのヒント
ファッションは好きだったけれど、年齢とともに体型が変化して、「何を着てもしっくりこない」「おしゃれが難しくなった」と感じている方は少なくないかもしれません。お店で昔と同じサイズの服を手に取って、「あれ?なんか違うな…」と鏡の前でため息をついたり、クローゼットの服を着てみて「あの頃はこんなんじゃなかったのに」と落ち込んでしまったり。
ついつい、昔の自分や理想の体型と比べてしまい、ファッションを楽しむ気持ちがしぼんでしまうこともあるかと思います。でも、ファッションは誰かと比べるためでも、昔の自分に戻るために頑張るためのものでもありません。それは、今のあなた自身を心地よく、大切にするための一つの方法だと思うのです。
ここでは、「あの頃」と比べる心をそっと手放し、今の体型で心地よくファッションを楽しむためのヒントをお伝えします。
昔の自分と比べるのを、そっとやめてみる
体型が変わることは、決して悪いことではありません。それは、あなたがたくさんの時間を重ね、様々な経験をしてきた証です。体型の変化に気づいたとき、「太ったな」「たるんだな」と否定的に捉えてしまう気持ちはよく分かります。
ですが、その否定的な気持ちが、おしゃれを楽しむ気持ちの一番のブレーキになってしまうことがあります。「どうせ似合わない」「何をどう着てもダメだ」と思ってしまうと、新しい服に挑戦したり、今の自分に似合うものを見つけようとしたりする気力が湧きにくくなります。
まずは、「あの頃の自分」と比べることから、ほんの少し距離を置いてみませんか。過去の体型を「良かった頃」として理想化しすぎず、今の体型を「今の私」として受け入れることから始めてみましょう。
「隠す」だけじゃない。心地よさで選ぶ服
体型に悩みがあるとき、「気になる部分を隠さなければ」という気持ちが先行しがちです。お腹やお尻、二の腕などを一生懸命隠そうと、体全体をゆったりしたシルエットで覆ってみたり、締め付けの強い補正下着を選んだり。
もちろん、気になる部分をカバーする着こなしの工夫は大切です。ですが、「隠すこと」だけを目的に服を選ぶと、選択肢が狭まったり、窮屈な服を選んでしまったりすることがあります。
それよりも、「今の体型で、どう着たら一番心地よくいられるか」という視点を大切にしてみてください。
例えば、
- 肌触りの優しい素材は、体を締め付けずにリラックスさせてくれます。
- ドレープ(生地のたるみやひだ)がきれいに出る素材は、体の線を拾いすぎず、上品な雰囲気を演出してくれます。
- ウエストを無理に細く見せようとせず、少しゆったりとしたシルエットのワンピースやトップスを選ぶのも、心身ともにリラックスできておすすめです。
- パンツのウエスト位置を少し上げてみたり、トップスを軽くインしてみたりと、バランスの取り方を工夫するだけで、全体がすっきり見えることもあります。
「体型を隠す服」ではなく、「今の体に心地よく寄り添う服」を選ぶこと。この視点を変えるだけで、服選びがずっと楽になるはずです。
今の体型だからこそ楽しめるファッションもある
体型が変わったことで、昔は似合わなかった服が似合うようになったり、新しいシルエットに挑戦しやすくなったりすることがあります。例えば、昔は肩幅が気になっていたけれど、今は少し柔らかいシルエットのトップスが似合うようになった、若い頃は似合わなかったゆったりめのパンツスタイルが、今はこなれて見える、などです。
「昔はこうだったから」という固定観念に囚われず、「今の自分」を主語にして服を見てみましょう。
- 今の体型で、この服を着たらどんなシルエットになるだろう。
- この素材は、今の自分をどんな風に見せてくれるだろう。
- 今の私が一番リラックスできて、かつ気分が上がるのはどんな服だろう。
おしゃれの可能性は、「あの頃の体型」だけにあるのではありません。「今の体型」だからこそ楽しめる、新しい発見がきっとあるはずです。それは、凝り固まったおしゃれのルールを手放す、良いきっかけになるかもしれません。
基準は、あなたの心が「心地よい」と感じること
最終的に大切なのは、あなたがその服を着ていて、心地よくいられるかどうかです。サイズ表示の数字や、流行り、周りの目が気になることもあるでしょう。ですが、何よりも優先してほしいのは、あなたの体の感覚と、心の声です。
試着をするときは、鏡の中の自分を批評するのではなく、「この服、肌触りはどうかな?」「腕や肩周りに窮屈なところはないかな?」「この服を着ると、なんだかホッとするな」など、自分の内側の感覚に意識を向けてみてください。
完璧な体型を目指すのではなく、今の自分を受け入れ、慈しむような気持ちで服を選ぶこと。それが、おしゃれを心から楽しむための第一歩です。
体型が変化しても、ファッションを楽しむ気持ちは何歳になっても持ち続けて良い、素敵な感情です。「あの頃」と比べるのはもうやめて、「今の体型」で心地よく、そしてあなたらしく輝くためのファッションを見つけていきませんか。