「似合う」の正解はひとつじゃない。タイプ分けより大切な「今の私」が心地よい服を選ぶヒント
「似合う」という言葉に、少し疲れていませんか
「あなたには〇〇タイプが似合います」
「この色は△△さんにぴったり」
雑誌やインターネット、最近ではお店でも、そんな「似合う」の情報があふれています。パーソナルカラー診断や骨格診断といったものも、自分を知るヒントになってとても参考になります。
ですが、時に私たちは、この「似合う」という言葉に縛られすぎて、服選びが窮屈になってしまうことがあります。
特に、年齢を重ねて体型が変わったり、ライフスタイルが変わったりすると、「これまで似合っていたものが、なんだかしっくりこなくなった」「そもそも、今の私に何が似合うのか分からない」と悩んでしまうこともあるかもしれません。
診断結果は分かったけれど、それに合う服ばかり着ていると、なんだか自分らしくない気がする…。そんな風に感じたことがある方もいらっしゃるのではないでしょうか。
「似合う」の基準は、実は一つだけではありません。一般的なセオリーも大切ですが、それ以上に大切なのは、「今の自分自身が、その服を着ていて心地よくいられるか」ということではないでしょうか。
この記事では、「似合う」というプレッシャーから少し離れて、自分自身の感覚を信じ、「今の私」が心地よいと感じる服を見つけるためのヒントをお届けします。
タイプ分けやセオリーはあくまで「ヒント」として
パーソナルカラー診断で「イエベ春だから、この色は得意なはず」、骨格診断で「ウェーブタイプだから、こういう素材や形が似合う」という情報は、服選びの入り口としてとても役立ちます。
ですが、これはあくまで多くの人に当てはまる傾向やセオリーです。私たちは皆、一人ひとり違いますし、日によって体調や気分も変化します。
診断結果にぴったり合う服を着ていても、なんだか落ち着かない。セオリー通りに選んだはずなのに、どうも鏡に映る自分が納得できない。そんな時は、一度その「似合う」の基準から少し離れて、自分の心や体の声に耳を傾けてみてください。
もしかしたら、その日の気分は診断結果とは違う色を着たいのかもしれません。 もしかしたら、セオリーとは違うけれど、体が求めるリラックスできるシルエットを選びたいのかもしれません。
ファッションは、自分自身を表現するツールの一つです。誰かの基準に合わせるよりも、自分がどうありたいか、どう感じるかを大切にしても良いのです。
「今の私」が心地よい服を見つけるための3つのヒント
では、「似合う」という外からの基準ではなく、自分自身の内側から湧き上がる感覚を大切にするには、どうしたら良いのでしょうか。具体的なヒントを3つご紹介します。
ヒント1:試着の時は「頭」より「心と体」で感じる
服を試着する時、「このデザインは私の体型に合うかな?」「この色は私のパーソナルカラーだったかな?」と、頭で考えがちです。もちろん、それも大切な要素ですが、それに加えて「着てみて、なんとなく心が弾むか」「肌触りが心地よいか」「窮屈なところはないか」「自然な姿勢でいられるか」といった、心と体の感覚を大切にしてみてください。
鏡の中の自分を見て、「うん、これでいいな」「なんだかホッとするな」と感じる服は、理屈抜きで「今のあなたに心地よい」服です。一般的な「似合う」からは外れるかもしれませんが、あなた自身が心地よさを感じているなら、それが「今のあなたにとっての似合う服」と言えるのではないでしょうか。
ヒント2:体型変化は「隠す」だけがすべてじゃない
年齢や体型の変化は、誰にでも訪れる自然なことです。それに伴って服選びに悩むのは当然のことです。多くのファッション情報では「体型カバー」の方法が紹介されています。もちろん、気になる部分を自然にカバーする着こなしは有効な手段です。
ですが、そればかりに囚われてしまうと、服選びが「隠す作業」になってしまい、楽しさが半減してしまうこともあります。
「体型カバー」だけでなく、「今の自分のどこか好きな部分を少し見せる」「一番リラックスできるシルエットを選ぶ」「着ていて一番自分が落ち着くバランスを探す」といった、よりポジティブな視点を取り入れてみましょう。
例えば、首元がすっきり見えるデザイン、手首や足首が少し出る丈感など、ほんの少しの工夫で、隠すことばかり考えずとも心地よく、自分らしくいられる服が見つかることがあります。今の体型を受け入れ、その上で心地よくいられる服を選ぶことが、結果として一番素敵に見えることにつながるはずです。
ヒント3:「好き」という気持ちを諦めない
「このデザインが好きだけど、私には可愛すぎるかも」「この色を着てみたいけど、似合わないって言われたことがあるからやめておこう」
過去の経験や誰かの言葉で、「好き」という気持ちに蓋をしてしまっていませんか。ファッションを楽しむ上で、「好き」という気持ちは最高の原動力です。
もし気になる服があれば、一度試着してみましょう。思っていたよりもしっくりくるかもしれません。もし難しければ、小物で少しだけ色を取り入れてみる、デザインが似ているけれどもう少し落ち着いたものを選んでみるなど、段階的に取り入れてみるのも良いでしょう。
完璧に「似合わせる」ことよりも、「好き」という気持ちを大切に、少しでもクローゼットに「心が弾む服」を増やしていくことの方が、日々のファッションをより豊かなものにしてくれます。
まとめ:あなたの心地よさこそが、一番の「似合う」基準
「似合う」という言葉は、時に私たちに新しい発見をくれる素敵なヒントです。ですが、それに縛られすぎて、自分自身の感覚を見失ってしまう必要はありません。
タイプ診断や一般的なセオリーは、あくまであなたが自分らしいスタイルを見つけるための参考書のようなものです。教科書通りでなくても、あなた自身が「これが好き」「着ていて心地よい」と感じる服こそが、今のあなたにとって一番「似合う」服なのです。
完璧な「似合う」を探し求めることから少し離れて、あなたの心と体の声に耳を傾けてみてください。そして、「今の私」が心地よくいられる服を、自由な気持ちで選んでみませんか。きっと、これまでよりもっと肩の力を抜いて、ファッションを楽しめるようになるはずです。