ゆるっとファッション手帖

体型カバーより大切なこと 変化する自分と心地よく向き合う服選び

Tags: 体型変化, 服選び, 自分らしく, 大人ファッション, 心地よいファッション

昔の服が似合わない…その戸惑い、私だけではありません

クローゼットを開けて、ふと手に取った若い頃の服。 「これ、昔は綺麗に着れたのになあ」

鏡の前で試着して、想像していた姿との違いにちょっぴり寂しくなったり、ため息が出たり。年齢とともに体型が変化するのは、自然なことだと頭ではわかっていても、正直なところ戸惑いは隠せません。

「もうこの服は似合わないのかな」 「何を基準に服を選べばいいんだろう」

そう感じて、おしゃれから少し遠ざかってしまっている方もいらっしゃるかもしれません。流行を追いかけるのもしんどいし、体型を「完璧に隠す」ことばかりに気を取られて、ファッションが苦しいものになってしまうのは、本意ではありませんよね。

でも、大丈夫です。体型が変化しても、私たちはファッションを楽しむことを諦める必要はありません。大切なのは、単に「体型をカバーすること」だけではなく、変化した自分自身を心地よく受け入れ、今の自分に似合う服との向き合い方を見つけることです。

「隠す」から「心地よさ」へ。考え方を変えてみる

体型変化に対して、つい「隠さなきゃ」「目立たないように」と考えがちです。もちろん、気になる部分をカバーする着こなしの工夫は有効な手段の一つです。しかし、「隠すこと」だけに囚われすぎると、着られる服の選択肢が狭まったり、窮屈な服を選んでしまったりすることもあります。

ここで、少しだけファッションに対する「こうあるべき」という考え方を手放してみませんか。

「体型カバー」という言葉を聞くと、どうしてもネガティブな印象を受けがちですが、視点を変えてみましょう。これは「今の自分の体を一番美しく、心地よく見せる方法を見つけること」なのだと捉え直すのです。そして、そのために一番大切なのは、自分自身がその服を着ていて「良い気分でいられるか」ではないでしょうか。

変化した体と心に寄り添う服選びのヒント

では、具体的にどのような視点で服を選んでいけば良いのでしょうか。いくつかのヒントをご紹介します。

サイズ表示に囚われすぎない

服のサイズはあくまで目安です。ブランドやデザインによって同じMサイズでも全く大きさが違うことはよくあります。年齢とともにバストやウエスト周りが変化したり、二の腕が気になるようになったりした場合、無理に昔と同じサイズを選ばず、今の自分の体が一番楽で綺麗に見えるサイズを選びましょう。表示がLでもXLでも、今のあなたにフィットしているならそれがベストなサイズです。

素材感に注目してみる

体のラインを拾いすぎるピタッとした素材よりも、少しとろみのあるものや、体の泳ぐような柔らかい素材(ドレープ性のある生地)は、体型を優しく包み込み、女性らしい雰囲気を演出してくれます。また、ハリのある素材は体のラインを拾いにくい一方で、ボリュームが出すぎることもありますので、デザインとのバランスが大切です。実際に触ってみて、着心地が良いと感じるかどうかも重要な判断基準です。

デザインの「ゆとり」を味方につける

適度なゆとりは、体型をさりげなくカバーしつつ、こなれ感やリラックス感を演出してくれます。ただし、ゆとりがありすぎる服はかえって着太りして見えることも。ドロップショルダーのデザインや、身幅はゆったりでも着丈が短めのトップス、あるいはストンと落ちるシルエットのワンピースなど、全体のバランスを見て選びましょう。首元や手首、足首など、体の細い部分を見せるデザインは、着痩せ効果も期待できます。

過去の「似合う」より、今の「心地よい」「気分が上がる」を大切に

若い頃に似合っていた色やデザインが、今の自分にはしっくりこないと感じることもあるかもしれません。それは、年齢を重ねて顔立ちや肌のトーン、雰囲気が変化しているからです。昔の「似合う」という基準に固執せず、今の自分が着てみて「なんだか落ち着く」「これを着ると元気が出る気がする」といった、内側から湧き上がるポジティブな感覚を大切に服を選んでみましょう。新しい自分に似合う色やデザインとの出会いがあるかもしれません。

クローゼットを「今の自分」に合わせてアップデート

体型が変化した時に、クローゼットの中身を見直す良い機会です。 * もう何年も着ていない、サイズが合わない服 * 着ると気分が落ち込む服 * 「痩せたら着よう」と取っておいてある服

これらは、今のあなたにとって必要のない服かもしれません。思い切って手放すことで、クローゼットがスッキリするだけでなく、「昔の自分」に囚われていた気持ちも軽くなることがあります。

そして、新しい服を取り入れる際は、「今の自分が着て、心から心地よくいられるか」を最優先に考えてみましょう。完璧に流行を追う必要はありません。手持ちのアイテムと合わせやすいか、お手入れがしやすいか、そういった視点も取り入れながら、無理のない範囲で「今の自分」にフィットするアイテムを少しずつ揃えていくのがおすすめです。

変化を楽しむくらいの気持ちで、ゆるっとファッションを

体型が変化することは、決してネガティブなことではありません。それは、私たちが人生の経験を積み重ねてきた証であり、体という一番身近な存在が、時の流れと共に形を変えている自然な姿です。

完璧に「体型カバー」しようと気負うのではなく、変化した自分をそっと受け止めて、「今の自分にはどんな服が心地よいかな」「どんな服を着ると気分が上がるかな」という視点でファッションと向き合ってみてください。

昔の自分と比べるのではなく、今日の自分を大切にする。 「こうあるべき」にとらわれず、自分らしい心地よさを追求する。

そうやって肩の力を抜いていくと、きっと今まで気づかなかった新しい「似合う」や、ファッションを楽しむ喜びが見つかるはずです。ゆるっと、そして自分らしく、今のファッションを楽しんでいきましょう。