体型変化を「隠す」より「受け入れる」。今の自分と心地よく向き合う服選び
年齢とともに変化する体型。服選び、難しく感じていませんか
気がつけば、若い頃とは違う体型になっている。そんな風に感じている方は、きっと少なくないはずです。鏡を見るたび、「ああ、ここが…」と気になったり、試着室でがっかりしたり。これまで似合っていたはずの服が、どうにもしっくりこなくなって、服選びそのものが少し億劫になってしまうこともあるかもしれません。
ファッション誌やSNSで見る素敵な着こなしは、細いモデルさんや若い方ばかり。つい自分の体型と比べては落ち込み、「どうにかこの部分を隠さなくちゃ」と、体型カバーばかりを考えて服を選ぶようになってしまう。そうすると、着たい服ではなく「隠せる服」がクローゼットを占めるようになり、だんだんおしゃれが楽しくなくなってしまう…そんな経験、ありませんか。
でも、ちょっと立ち止まって考えてみませんか。体型が変化するのは、ごく自然なこと。一生同じ体型でいる人のほうが稀です。そして、その変化をすべて「隠す」ことが、本当に私たちを心地よく、幸せにしてくれることなのでしょうか。
「こうあるべき」という理想の体型に囚われず、今の自分自身と心地よく向き合うこと。それが、「ゆるっとファッション手帖」が大切にしたい考え方です。体型変化をネガティブに捉えすぎず、今の自分に寄り添う服選びのヒントを、一緒に探してみましょう。
「隠す」努力より「受け入れる」心地よさ
体型の変化を感じると、私たちはつい「隠さなくちゃ」と考えがちです。お腹周り、二の腕、ヒップ…気になる部分をカバーしようと、ゆったりした服を選んだり、逆に締め付けのあるインナーで無理をしたり。でも、そうした「隠すための服選び」は、時に私たち自身を否定しているような気持ちにさせてしまうことがあります。
「隠す」ことばかりに意識を向けるのではなく、「今の自分を受け入れる」ことに視点を変えてみてはどうでしょうか。変化した体型を「ダメになった」と捉えるのではなく、「年齢を重ねて丸みを帯びた」「ライフステージに合わせて変化した」と、自然なこととして受け入れてみる。そうすると、少し肩の力が抜けて、服選びももっと自由になるかもしれません。
「完璧に体型カバーすること」を目指すのではなく、「今の自分が一番心地よくいられる服」を選ぶこと。ここが「ゆるっとファッション」の第一歩です。
体型変化があっても「心地よく見える」服選びのヒント
「受け入れると言われても、やっぱり気になるものは気になる…」そう感じるのは、とても自然なことです。無理にすべてを肯定する必要はありません。大切なのは、「完璧に隠す」ことに囚われず、今の自分をより魅力的に見せてくれる、そして自分が心地よくいられる服を選ぶことです。
具体的な服選びのヒントをいくつかご紹介します。これは「こうすべき」というルールではなく、「こんな考え方もあるんだな」という参考にしていただければ嬉しいです。
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「サイズ感」は心地よさで選ぶ 若い頃のジャストサイズにこだわりすぎないでみましょう。少しゆったりとしたシルエットのトップスやボトムスは、体のラインを拾いすぎず、リラックスした雰囲気を作ってくれます。ただし、大きすぎるとだらしなく見えることもあるので、試着して全体のバランスを見ることが大切です。肩のラインが合っているか、丈感はどうかなど、鏡で全身をチェックしてみてください。
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「素材感」で印象をコントロール テロッとした薄すぎる素材や、体にぴったりと張り付くような素材は、体のラインを拾いやすい傾向があります。適度なハリや厚みのある素材、または落ち感があって(ドレープ性と言われます)体のラインを拾いすぎない柔らかな素材を選ぶと、上品に体型をカバーしつつ、おしゃれな印象になります。ニットなら、ゲージが詰まったものより、少しローゲージで表情のあるものなども良いかもしれません。
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「デザイン」で視線を分散・強調 体型を「隠す」というより、「バランスを整える」という視点でデザインを見てみましょう。
- 首元: Vネックやボートネックなど、首元を少し開けることで、顔周りがすっきりして視線が上に集まります。タートルネックでも、首に張り付かないゆとりのあるデザインなら、縦のラインを強調できます。
- 袖: 気になる二の腕は、ぴったりしたノースリーブや半袖より、五分袖や七分袖、またはボリュームのある袖デザインで「見せない」のではなく、袖のデザインそのものに視線を集める方法もあります。
- 丈感: トップスやボトムスの丈感は、全体のバランスを大きく左右します。お腹周りが気になるなら、お尻が隠れるくらいの丈のトップスを選んだり、脚を綺麗に見せたいなら、足首が見える丈のボトムスを選んだり。これも「隠す」ためだけでなく、全体のバランスを心地よく整えるための工夫です。
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「トレンド」に囚われすぎない 流行りの体型カバー術や、特定のアイテムに飛びつく必要はありません。それが自分にとって本当に心地よい着こなしなのか、冷静に考えてみましょう。自分自身の体型や好みを理解し、それに合った服を選ぶことの方が、ずっと大切です。
これらのヒントはあくまで一例です。大切なのは、ご自身の体と向き合い、心地よく感じる服を見つけること。試着する際は、「ここが気になる…」とアラ探しをするのではなく、「この服を着た私は、どう見えるかな」「気分は上がるかな」と、自分を肯定する視点を持ってみてください。
変化する自分をまるごと受け入れて、ファッションをもっと自由に
体型の変化は、決してネガティブなことばかりではありません。それは、あなたが人生の経験を積み重ねてきた証でもあります。その変化を恐れたり、隠そうと躍起になるのではなく、ありのままの自分を受け入れてみること。そうすることで、服選びも、そして日々の暮らしも、きっともっと楽で心地よいものになるはずです。
完璧な体型を目指す必要はありません。年齢を重ねた今のあなただからこそ似合う服、今のあなたが一番輝ける服は必ずあります。「隠す」というプレッシャーを手放し、「受け入れる」という優しさを持って、今日の服を選んでみませんか。
自分自身に優しく寄り添う服選びで、あなたの毎日が、もっと「ゆるっと」心地よいものになりますように。